経済成長というと、例えば、GDPが前年比いくら成長したかというような問題になるのですが、一般的にはイメージしずらいんですね、何のことかわからない。
この説明がわかりやすいかどうか不明ですが、私はこのような理解なんですよ、貸借対照表があって、借方の資産の総額が前年比どれだけ成長したのか、ということをGDPの成長というという国全体の成長率の基準にしている、ということですよ。
しかし、仮にこれを企業に当てはめてみると、企業の成長は貸借対照表の資産の増加をあまり問題にしないのですね、確かに企業規模をみる指標にはなりえるが、会社自体の成長の指標には一般にはしないんですね。実は、これがマスコミも学者や評論家もあまりこれを問題にしないのですよ。
今世界的に問題になってる、トランプ関税の問題なんですが、基本は貸借対照表の資産の増減の問題であって、日本国貸借対照表、損益計算書、というのがあって、また米国には貸借対照表があり、損益計算書があり、中国も同様であり、このどの辺に問題が所在するのか、という理解なんですね。
トランプの主張する貿易赤字問題というのは、損益計算書の部分で、収入と支出の合計が黒字なり赤字になったという問題で、米国は貿易赤字だから収支が赤字になり、米国国内の富が黒字国に持ち出されたことが気に食わないということです。
これを企業会計と比較するに、損益が赤字が継続すればやがては資金調達が不調となり、借入の限界を迎えるから、債権者が貸し付けている資金の返還を求められればそれで企業は倒産してしまう、ということなんです。
一方、国は通貨を発行する権限があるため、基本的に決済不能になることはないのですね、その代わりどうなるのかというと当該自国発行通貨の価値が下落して、インフレになってしまうということです、だから、通貨価値が暴落して自国発行通貨が紙切れになってしまうのですね、その時に国の財政運営が困難になり、国が破滅する、ということです。
自国通貨は、何ら財産的担保なく発行はできないのですね、何らかの担保が必要なんです、そうでないと流通なんてしないんです。例えば、日本円の担保は日本国民の財産なんです。国が国家運営に必要な資金を調達するのに国債を発行するのですが、国は国民に対し徴税権を有するから、国の発行する国債は、国民の財産や将来の労働価値が担保になっているんです。
実は、米国の場合、基軸通貨となっており、世界の貿易決済通貨になっているんですね、これは戦前の大戦の反省から、戦勝国となった米国が市場を世界に開放してリーダーとして自由貿易推進を約束したから、米国は自国通貨だけど世界の決済通貨としての地位に君臨したわけです。ところが、トランプは関税障壁を作り、市場開放を拒否し、自由貿易推進の約束を反故にしたわけだから、今後、米国通貨は決済通貨としての役目を果たしません、ということになってしまう。
先の貸借対照表の問題ですが、例えば企業であっても、損益が赤字が継続したら一般的にはやがて倒産になるのですが、当該企業の貸借で考えれば、借方の資産は、借入金+自己資本、であって、自己資本が赤字の継続で使い果たして債務超過になっても、借入金が損益上の赤字を上回れば借方の資産は増加し続けるのです。つまり、米国の事例でいえば、貸方の自己資本は大幅な債務超過になっていても、借入金をそれ以上に増加させることで、借方の資産を増加させ、全体の経済成長している、と見做しているわけなんですよ。
結局、トランプの主張するのは、米国は貸方の借入を増加させず、自己資本の債務超過を解消したい、ということなのかな、と。しかし、特に戦後の米国の国家運営は、外部から借入を増やすことで借方の資産増加を続けて成長してきたのだから、突如借入をストップして自己資本を増加させます、と方針転換してうまくいくのかな、という疑問はありますね。
なぜなら、現在の米国経済は他国依存型になってしまってるからですよ、米国経済は消費経済であって、他国から借入をしては他国で作られた商品を消耗することで成り立ってるからです。それができたのは、米国が市場を開放して自由貿易を推進することを担保としての基軸通貨たるドルがあったからですよね、だから、トランプ主導の関税等の政策を継続する限りにおいて、米国経済は失速し、やがては基軸通貨国家としての地位を失うことになる。
そうすると、今後考えられるのは、米国に貸し付けている債権者が債権の取り立ての殺到してしまうことです。結果、米国には世界中の債権者に債務を弁済する能力はないので、破綻しちゃうんですね、デフォルトです。
トランプは何回も破産した経験を有するので、恐らく、トランプは米国を破産させて、債務ゼロにして経済立て直しを目論んでるのではないですか、つまり、今後米国債は紙切れになり、米ドルも紙切れになっちゃうということです。