日本の対BRICS政策は次期トランプ政権への牽制になりえると思う。

「トランプ次期米大統領は11月30日、中国やロシアなど主要新興国BRICSによる米ドル離れを図る動きに対し「そんな国々は100%の関税に直面することになる。素晴らしい米国市場にさよならしてもらう」とけん制した。自身のソーシャルメディアに投稿した。 10月のBRICS首脳会議では、ドル決済に対抗する各国通貨決済の拡大を協議した。トランプ氏は「国際貿易でBRICSがドルに取って代わることは不可能だ」と強調した。」

BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカのことで、これらが中心となり、主要新興国による新通貨が検討されているのだという・・

従来から、基軸通貨として米ドルが使用されてきた経緯というのは、米国市場が世界でもっとも開かれた自由な市場であり、3億人を有する大きな市場を有していたから、日本としても、より大きな市場を確保するためにも、米ドルを確保し、米国市場に食い込み需要を取り込む必要があったためだ。

しかし、世界人口の大半は新興国市場にあり、従来はカネも技術もない発展途上国は投資先ではなく、保護の対象であったから、先進国にとっては重荷でしかなかったわけだ。それがグローバル経済の進展により、新興国が製造拠点に組み込まれてきたから、先進国側のカネや技術が流動することで、豊かさを享受することとなり、結果、新興国の所得が向上し、結果、消費対象としてクローズアップされるに至った。

そこで、これらの新興国が決算通貨として新通貨を提案してきた、ということだと思う・・

問題は、新興国は現況産業の牽引車ではなく、先進国保護を前提とする保護経済に過ぎないから、新興国が独立した基軸決済通貨を提案しても不発に終わるだろう。

石破首相による所信表明によれば、相も変わらず日米同盟基軸を謳うが、次期トランプ政権は第一に、米国ファーストを掲げ保護政策の色彩が強いので、日本の産業界としても、少なからず不利益を受けるものと考えられるから、BRCKSによる新基軸通貨提案に付き、中立的に動向を注視する、という程度の発表は必要なのではないのか、と思いますがね。

日本がこれ以上、米ドル保有を増やさず、基軸通貨を多様化する旨表明すれば、それだけで米ドルが暴落しちゃう可能性があるから、迂闊には表明できないだろうけど、BRICSの新通貨提案に他の新興国が続々と支持を表明し始めたら、それなりに新通貨は流通するだろうし、日本企業もBRICS通貨で決済を強要された場合、必要な範囲でBRICS債を購入する必要も出てくるのではないのか、と思いますね。

逆にいえば、BRICSに係わることを表明するか否かは、次期トランプ政権に対する日本のカードになりえるのではないのか、と思いますね。