行政書士と司法書士は、同じく書士を名称とするので、よく混同されるんですが・・
全く別種の資格といえますね。
歴史的には同じく代書人から派生しているようですが、よく各種サイトで、
行政書士と司法書士の違い等として、
行政書士は、行政庁等の都道府県庁や市役所等に提出する書類の作成代行する資格者で、
司法書士は、司法と冠するとおりに、裁判所や検察庁、法務局に提出する書類を作成する資格者なのだ・・とかなんとか・・まことしやかに語られる場面を見ますね・・
実際はどうなのか・・
資格者のできる業務範囲は、各種業法に規定されておりまして、それによると、
行政書士は・・①官公署に提出する書類の作成代理相談
②権利義務に関する書類の作成代理相談
③事実証明に関する書類の作成代理相談
特定行政書士資格者に限り、上記①~③に加えて許認可申請に対する処分に対し、不服申請が代理して行える、ことになっております・・
一方、司法書士は・・
①登記又は供託に関する手続について代理相談
②法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類の作成相談
③法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理相談
④裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続相談において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類の作成相談
認定司法書士資格者に限り、上記①~④に加えて、簡裁代理(訴額140万円以下に限る)が法定されております・・
わかりやすくいうと、行政書士の業務範囲は、官公署に提出する書類作成、許認可申請、民民間の契約書、協議書、示談書等の作成、決算書等会計書類や図面を含めた証拠書類等、あらゆる書類の作成を委任され代理して作成(その他代理行為も含む)するのが業務となっておりまして、司法書士の業務範囲は主には不動産等の登記申請書類の作成が独占業務として規定されておるのですね・・だから、イメージとしては、行政書士は許認可申請業務の他各種書類作成業務、司法書士は不動産登記申請業務その他付帯業務というところでしょうか・・
しかし、私も、許認可申請で証明書類の申請で法務局は日常茶飯事だし、特に依頼客に使者して書類の提出は日常茶飯事なんですよ、但し、司法書士業務の独占の範囲である登記申請手続代理相談は業務外となるため、仮に許認可申請に付帯するものであっても、依頼人自ら登記申請いただくようにお願いしているところですね・・登記申請は原則として本人主義でするものですから・・法務局に行けば丁寧に対応してくれますよ、と私は本人申請をお勧めしております・・
ところが、法務局は本人申請に付き相談を受けるのに消極的らしいですなあ・・なんでやろ。
ともかく、許認可申請代理業務を主たる業務とする行政書士としては、法務局にもっと丁寧に対応していただくようお願いしたいですな、そうでないと私にお鉢が回ってくることになっちゃうんだから・・行政書士業務の範囲としては、確かに法務局等も含む官公署に提出する書類の作成代理相談業務ではあるのだけど、業際問題で、登記に係わる手続き代理行為は、司法書士の独占になってる以上、行政書士の私としてはおいそれと簡単には業際クロスオーバーを許容するわけにはいかないからですね。だから、そうならないためにも、法務局には頑張っていただきたいものです。
小括しますとね・・
司法書士の業務範囲として、司法を冠するから裁判所に提出する書類作成であるというのは間違いではないけど、正確ではないから混乱を招く表現だと思いますね・・なぜなら、司法書士の独占業務はあくまでも登記申請書作成業務であって、提出する先の法務局は「司法」とは全く関係ない部署だからです。
また、裁判所や検察庁に提出する書類の作成も司法機関という特定はされていませんのでね・・つまり、「司法」とは法律を解釈する行為を意味するのですよ、裁判上の法解釈やらは裁判官や検察官等法曹の独占業務なのだけど、裁判所や検察庁等の役所は、司法機関としての役割もあるのだけど、役所個体としては、行政庁なんですよ。裁判所は最高裁長官を機関とする行政機関であるし、検察庁はこれも検事総長を機関とする行政機関といえるわけですね、だから、司法書士の業務は裁判所や検察庁や法務局の司法機関に提出する書類の作成が独占業務なんです、という説明は間違いということになりますね・・
結論、としては、司法書士の独占業務は登記申請書作成代理行為を範囲として、当該提出先は行政機関の一種である法務局ということになるから、司法書士とは、登記申請手続代理を独占とする行政書士である、ということになりますね。
余計にわからなくなりましたかね、まあ、ややこしいハナシには違いありません。