「2022年11月22日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国のシンクタンクが「中国は台湾を武力で統一すれば、得るものより失うもののほうが大きくなる」とする研究報告をまとめたと報じた。
記事は、米ワシントンにあるシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が22日、中国による台湾の武力統一に関する研究報告を発表したと紹介。報告書では、中国が台湾の武力統一に乗り出す前に外国政府や投資家に対し何らかのコーションを行うものの「明確なシグナルは出さない可能性」があり、米国側は中国に警告を発すると同時に豪州、日本、英国などの盟友に対しても中国を威嚇するよう求めると予測されたことを伝えた。
また、中国による台湾への進攻が始まった場合について、報告書が「歴史的に類似の事例が少ないため、その影響を正確に見積もることは非常に困難」とする一方で、台湾海峡での衝突が必ずや世界経済を破壊することになり、戦闘区域や付近の港における海運はストップし、空運も影響を受けることから多くの貨物の供給が寸断して、金融市場も2008年の世界金融危機を超える恐慌に陥る可能性がある上、特に中国が払う経済的な代償は大きく、緊急措置による資本統制の強化、海外資産売却、重要製品の輸出停止のほか、中国に駐在している外資企業が続々と撤退し、中国は巨大な資本流出の圧力に直面することになると予測したことを紹介している。」
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
日本国内閣総理大臣田中角栄は、中華人民共和国国務院総理周恩来の招きにより、千九百七十二年九月二十五日から九月三十日まで、中華人民共和国を訪問した。田中総理大臣には大平正芳外務大臣、二階堂進内閣官房長官その他の政府職員が随行した。
毛沢東主席は、九月二十七日に田中角栄総理大臣と会見した。双方は、真剣かつ友好的な話合いを行った。
田中総理大臣及び大平外務大臣と周恩来総理及び姫鵬飛外交部長は、日中両国間の国交正常化問題をはじめとする両国間の諸問題及び双方が関心を有するその他の諸問題について、終始、友好的な雰囲気のなかで真剣かつ率直に意見を交換し、次の両政府の共同声明を発出することに合意した。
日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。
日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。また、日本側は、中華人民共和国政府が提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立って国交正常化の実現をはかるという見解を再確認する。中国側は、これを歓迎するものである。
日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は、平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である。両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。
一 | 日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。 | |
二 | 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。 | |
三 | 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。 | |
四 | 日本国政府及び中華人民共和国政府は、千九百七十二年九月二十九日から外交関係を樹立することを決定した。両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のために必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。 | |
五 | 中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。 | |
六 | 日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。 | |
七 | 日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。 | |
八 | 日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。 | |
九 | 日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大するため、必要に応じ、また、既存の民間取決めをも考慮しつつ、貿易、海運、航空、漁業等の事項に関する協定の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。 |
千九百七十二年九月二十九日に北京で
日本国内閣総理大臣 | 田中角栄(署名) |
日本国外務大臣 | 大平正芳(署名) |
中華人民共和国国務院総理 | 周恩来(署名) |
中華人民共和国 外交部長 | 姫鵬飛(署名) |
」
1972年の日中共同声明にて、日中の国家間の立場が合意されたのですが、そのうち第3項において、中国の立場として、台湾は中国の一部である旨主張して、日本はその立場を尊重する旨を表明し、ポツダム宣言第8項に従い、日本の台湾に対する主権は放棄する旨確認されている。
一方、第5項により、中国の日本に対する戦後賠償等請求権は一切放棄する旨も合意されている。
また、第6項において日中間での紛争は武力によらず平和的手段で解決することに合意し、アジア太平洋間での覇権確立は相互に行わない旨合意されている。
このようなことから、日本の立場としては、中国と台湾との紛争等については政治的立場としては関与できないことになる。
仮に、中国と台湾が戦争状態になっても人道的見地以外の目的で自衛隊を派遣する等はすることはできないだろう。