一種の詐欺行為ではありますが・・

「防衛省は青森県むつ市の海上自衛隊、大湊地方総監部所属の、幹部自衛官(54)ら男女4人を4日から5日の停職処分にしたと、3月28日に発表した。毎週金曜日のランチに食堂で出されるカレーを無料で食べる資格がないのに、代金を払わなかったというもの。

 4人のうち、40歳代の防衛事務官(現在は京都府舞鶴市、海上自衛隊第23航空隊に所属)は2017年4月から2019年3月までの2年間の毎週金曜日のランチに出される、カレーを食べていたという。大湊地方総監部の広報担当者がこう話す。

「食事を無料で食べられるのは、船に乗っている隊員。陸上勤務だと独身者です。既婚者や幹部自衛官はお金を払わないと食べられません。40歳代の事務官の場合は、係長クラスですから無料の対象者ではありませんでした。金曜日のカレーは定番でそれを知っていて食べていた」」

当該カレーを食するにあたり一定の職種以上の者は有償として組織内の内規で決められていた。それなのに、当該幹部職員はその内規があるのがわかったうえで内規で定められていた1食500円の代金を支払わずに2017年4月から2019年3月の間の当該カレーを食していた。

従って、当該職員は当該内規に違反した。当該内規所定の罰則が適用され当該職員は4日から5日の停職処分となった・・

ま、そういうことで本件は、当該職員による当該内規違反、つまり債務不履行ですね。

だから、場合によっては債務不履行に基づく損害賠償請求として、カレーの提供をした自衛隊部署等が主体となって当該職員に対し損害部分に相当する金銭を請求するということもありえますね。多分、本件ではその程度で問題は解決するのだろうと思われますね。

これが仮に一般企業が自衛隊の食堂等を貸して事業する形態であったら、無銭飲食となり、詐欺罪が適用される可能性がありますね。

無銭飲食の詐欺罪成立要件とは、はじめから支払うつもりもないのにカレーを注文して食べるだけ食べてそのまま支払わずに帰ってしまうと、

①(当該職員による)欺罔行為→②(食堂側の)錯誤→③(食堂側による)財産的処分行為・・と詐欺罪成立要件が適合し、タイホ、ということになります。

その後、起訴され刑事裁判にて刑が確定するということでしょうね・・

詐欺罪適用は非常に難しいですが、無銭飲食ということになると認められるんですよね。

本件の当該職員の一件に関しては無銭飲食とは見做されず単に当該内規に基づく債務不履行として処理されるのだろうと思われますね・・