円暴落・・しかし、何ら影響なし。

「ドル/円相場は断続的に高値を更新し続けている。3月28日には、指定した利回りで無制限に国債を買い取る日銀の「指し値オペ(公開市場操作)」を実施するとの通告を受け、「日銀が円安を容認した」との思惑が先行し、さらに円売りが加速している。」

黒田日銀のいわゆるバズーガ政策以来、営々と円安政策を採り続けておりますが、黒田日銀の主張するような成長は全く期待できず、黒田日銀がゼロ金利政策を継続すればするほどに日本経済は不況が継続する・・ということを私は先に指摘しているところです。

これは誰も指摘しませんが、アベノミクスは誰のための何のための政策だったのか、ということなのですが、実は日本経済を復活させるための直接的な目的ではありません。

リーマンショック後の米国経済が崩落し、米ドルの信認が失われ、前代未聞の米ドル崩壊の危機に直面したため、債権国家である日本が主導して米国経済の立て直し、ひいては米ドルの信認の立て直しを行うためのプラグラムだったのです。

米国は消費主体の経済でGDPに占める消費の割合は日本に比べ突出しているんですね、要するに、カネは無くとも借り入れで賄えば経済は拡大できる、という考えです。現況においても、日本等からの借財を目当てに経済の立て直しをしている状況であって、他国からの投資によって新規流入するマネーを消費する経済モデルとなっているために物価上昇が止まらなくなる。それでもこの10年は米国経済は比較的低金利であったのは、日本から無尽蔵ともいえるドル買い、米国債買いが継続していためです。これが一巡すると、米国経済は消費過多経済なので、他国からの投資分を食いつぶし、次第に米ドルはインフレに転じてくるというわけです。

その兆候としては、日米金利差拡大に現れてくるでしょう。だから、米国金利の上昇が始まっても、日銀は従前のゼロ金利政策を継続し、日米金利差拡大を誘導する。そうすると、ますます日本側から米国側に資金流出が促進され、一時的にはドル高になってゆく。つまり、インフレ通貨である米ドルに対しデフレ通貨である日本円の暴落という珍妙な現象が一時的に現われてくる。現況、それが125円までに円が売り込まれいるということです。

円安誘導が果たして、日本経済、国民生活にプラスなのかマイナスなのか。

現在の日本経済は内需型経済に転じており、実は輸出経済ではなく輸入経済なんです。一部の先端中核的な国内技術等が他国に輸出されているものはあるんでしょうが、ほぼ生産部門は中国等第三国に移転されており、第三国で生産し消費国である米国等に輸出して、米ドルを決済通貨として取引されているのが実態なんですね、つまり、円安の効用は非常に限定的なんです。そもそも、ですが、日本円はハードカレンシーと言われながらもその役割を果たしていません。現在の世界シェアはせいぜい2%程度であって、いくら円安になろうが暴落しようが世界経済に影響力はないんですよ。

かつては、世界経済を支配するかの勢いの日本経済もショボいものになったもんです。