裁判官は「見ざる聞かざる言わざる」。

「SNSへの投稿で殺人事件の遺族を傷つけたなどとして訴追された岡口基一・仙台高裁判事(56)=職務停止中=を辞めさせるかどうかを決める弾劾(だんがい)裁判が2日午後、裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)で始まった。岡口判事は「私の表現行為は不適当なものもあり、深くおわび申し上げたい」と述べた。その後、弁護団が裁判官を辞めさせる「罷免(ひめん)」にあたらないと主張した。

 弾劾裁判は裁判官役を国会議員14人が務め、別の国会議員らによる裁判官訴追委員会から訴追された裁判官について「裁判官としての威信を著しく失う非行」があったかどうかを審理する。

 審理は公開で行われ、関わった議員のうち3分の2以上が辞めさせることに賛成すれば裁判官の職だけでなく、法曹資格も失わせる。判決はその場で確定し、退職金も出ない。

 岡口判事は2017年、東京高裁がウェブサイトに誤って載せた殺人事件の判決文を引用し、自身のツイッターに「首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に無残にも殺されてしまった17歳の女性」と投稿。これに抗議した遺族について19年、フェイスブックで「高裁に洗脳」されていると書いた。

 別の投稿も含め最高裁は、2度にわたって岡口判事を戒告処分にした。一方、遺族は19年、訴追委に岡口判事を訴追するよう請求。訴追委が昨年6月、弾劾裁判にかける判断をした。

 弾劾裁判はこれまでに9件(8人)あり、罷免された7人は収賄やストーカー、盗撮、児童買春といった刑事事件やそれに近い行為をしていた。SNSでの投稿が審理対象になるのは初めて。

 岡口判事に対する弾劾裁判の2回目以降の期日は決まっていない。今後、複数回の公判を開いて遺族の証人尋問などを行い、判決が言い渡される見込み。」

【憲 法】
第七十八条

(裁判官の身分の保障)

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

第八十条

(下級裁判所の裁判官・任期・定年、報酬)

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。そ
の裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬
は、在任中、これを減額することができない。

【裁判官弾劾法】

(この法律の趣旨)

第一条 裁判官の弾劾については、国会法に定めるものの外、この法律の定めるところによる。

(弾劾による罷免の事由)

第二条 弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。

 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。

 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。

裁判官の身分は憲法で定められています。行政機関が介入圧力をかけて裁判官を罷免にできないことになっておりますが、例外規定として公の弾劾裁判の結果であれば罷免できるというものです。その他、下級裁判所の裁判官は最高裁の指名する名簿にて内閣で任命する、すなわち人事権は最高裁にあるということです。つまり、裁判官は自由な立場で自由に法律判断をすることができる。だから、少なくとも、余程の犯罪を犯さなければ弾劾裁判にもかけられないし、10年に一度の任期満了までは最高裁の人事的な制裁も原則受けることはない。

岡口裁判官は多分反骨心旺盛な気質を持ち、一般的な常識や社会通念を打破する気概を持っていたんじゃないのか、と私は推測しますね・・だから、岡口裁判官はそのギリギリラインを狙ってチャレンジしてたんだろう。

一方、裁判官は弾劾裁判により例外的に罷免される。岡口裁判官を裁く弾劾裁判は、法第2条②の、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった、という理由に基づくものなんだろうと思われますね・・要は、岡口裁判官のインターネットの書込み内容は、裁判官として威信を著しく失うべき非行と言えるのか否か・・が争点です。

私は思うに、確かに岡口裁判官の書き込みは本人が認めるように、不適当なものであるには違いない、一方、不適当な表現をしたというだけで裁判官としての威信を著しく失うべき非行といえるのか・・はっきり言って、微妙ですね・・弁護士という立場であればOKですが、現職の高裁判事の発言ということになると・・非行に属する発言だといえるんだろう。しかし、著しい非行なのか、と問われると返答に窮してしまいますね・・

最高裁の人事で10年満了更新されずクビになっても、弁護士には登録できるから自営業者として法律事務所を経営できるし、どこかの事務所や会社で雇用されることもあるんだろうけど、弾劾でクビになると弁護士登録ができなくなる。実質法曹界から追放されてしまうんです。だから、岡口裁判官ピンチですね・・まあ、小説家でもなって裁判官の闇を暴露するようなことをやればそれで生活が成り立つかもね・・裁判官は判決理由にて自らの心証を自由に述べてもいいが、私的な発言は禁止だな・・見ざる聞かざる言わざるで決まり。私が下級裁判所の判事の立場だったら書込みなんか絶対にしないし、最高裁事務総局にヘこへこしてヒラメ裁判官になってると思うね・・裁判官の出世階段を一歩づつ進めて退官後は公証人にでもなるよ。公証人になれなきゃ仕方なく弁護士登録かな・・しかし、公職や大手会社の顧問しか引き受けないだろうな。

岡口裁判官の弾劾裁判の結果はわからないが十中八九は罷免でしょ。世の中、アホなことをする御仁がいるもんですね、ご苦労さんです。