R3.12.21付けの朝日新聞で、日本の家計資産2000兆円という記事がありましたが、とてつもない金額です。日本のGDP(国内総生産)はせいぜい500兆円くらいなので、年間の経済規模に比較して、その4倍程度の資産を有していることになりますね、そうすると、GDPに対する個人消費は多くて6割程度だから、2000兆円/300兆円としても、6年~7年程度は何もせずして暮らせることになる。実は、これだけの家計資産を有する国民は日本だけで、他国では先進国を限定しても例がないでしょう。つまり、日本はとてつもない国なのですよ。
日銀の公表するR3年9月末時点の家計資産は約2000兆円、うち海外に流出する資金は約1220兆円です。つまり、国内にあるはずの資金の6割が海外に流出して海外で消費されているのですよ。日本のGDP成長率が伸びず延々と横ばい乃至低落気味なのは、国内から海外に資金が流出しているからです。
その原因は、国内にある運用資金の総量に比して国内需要が圧倒的に少ないから、さらなる運用を目指して海外に流出しているともいえますが、逆に、国内に有効需要を作ればほぼ青天井で経済成長を持続化させることができるともいえる。結果として、国内景気が低迷する原因とは、今や世界中に自由に流動する資金にあると言えるんですよ。
日本国内のGDPの持続的成長を目指すための条件はどのようなものか。
ズバリ、言いますと、現在の日銀のゼロ金利政策を早々解除して、金融市場の正常化に舵を切り直すことですね。現況において、米国は国内物価上昇懸念から金利引き上げに政策を転化させておりますが、それに従って、日本国内市場の金融市場が金融の正常化により長期国債に金利が付き始めると市場で正常に評価された金利水準に落ち着き、日米金利差はある一定の自然な水準に落ち着く。そうすると、一方的に国外流出していた日本マネーが国内回帰現象を引き起こし、国内の景気水準は上向きに転じる。
しかし一方で、恐らく、日銀は早々にゼロ金利解除には慎重姿勢を崩さないだろうから、まだまだ国内景気の低迷は続いていくのだろうな、と私は予測しますね。
結論としては、まだまだ日本国内の景気低迷は長引きそうです。