行政書士は国家資格ですが、他に国家資格というものは相当数あるようで私もどれだけ存在するのかはよくわかりません。
他に有名な国家資格としては弁護士とか税理士とか公認会計士とか建築士とか・・要するに、国家資格があって登録者でなければ業務をすれば違法になりますというものです。
例えば、弁護士は弁護士法という法律で業務範囲が定められていて、
弁護士法第3条
弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
このような業務範囲で職務を行うことができる、というものですね。
また、弁護士でない者が上記範囲で職務とすることができないように法律を定めており、
弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法74条
弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
弁護士法第3条によれば、弁護士の職務範囲とは、
①訴訟事件
②非訟事件
③審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件
④一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解
⑤その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすること
①から⑤までの範囲が弁護士の業務ということになりますね・・
ところが、「ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と規定するので、本来それほど拘束力のある法律とはいえませんね。しかし、よくよく非弁行為などとして取締りの対象になることがあります。
行政書士法と競合する部分としては、②③④⑤というところでしょうか。
②の非訟事件に関しては、紛争性のない非訟事件に関しては行政書士の業務に含まれると解釈できるし、③行政書士法第1条の三の①②所定の業務範囲となり、④⑤は行政書士法第1条のニの①、第1条三の③④の範囲に含まれると解釈できますね・・しかし、これも微妙な解釈次第で洋々な主張が認められたり認められなかったりというところでしょうか。
弁護士会のよくありがちな主張としては、弁護士法72条なんですが、弁護士でないものは法律事務所の標記記載をするな、弁護士でないものは、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標記または記載をするな・・とかいうんですが・・弁護士ではないものは弁護士と名乗るなというのはわかるが、法律事務所を標記するなとか法律相談をするな、というのは逆に弁護士法違反だろう、と私は思いますね・・弁護士法では、「ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と規定するからですよ。だから、拡大解釈するのも弁護士法違反になるということです。
にもかかわらず、なぜ弁護士会は無制限に弁護士法違反を繰り返すのか・・まあ、考えられるのは、「職域確保」のためですね・・それ以外に考えられない。
単なる職域確保というのは財産的利益を得ようとする動機に基づくもので公共の福祉に反する行為にあたると私は思いますね。弁護士の使命は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することだから、集団的財産的利益を確保することを目的に非弁規定を利用する行為であるから使命規定に違反する行為にあたる・・
・・とか私は思うのだけど、裁判所はどのように判断するのだろうかな・・