「『破産者マップ』と称するウェブサイトの運営者が、破産決定から免責に至った者を個別的・断続的に掲載している官報の破産者情報を包括的・網羅的に収集し、データベース化させ、Google マップに関連付け設定を施し、Googleマップ上に破産手続きした者の住所の上にピン(目印)を挿入するなど容易に可視化させるサイトを実験的に開設した。しかし、破産者を一元化させるこのサイトの設立に対し、プライバシー権への侵害や社会的評価を低下させることによる名誉を毀損させる行為であるなど、次第に物議を醸し、2019年3月にはこれを問題視するメディアも出てくるなど報道が過熱し、これを受けて被害対策弁護団が結成される事態にまで発展した。最終的には後述の理由からサイトは閉鎖した。」
以前、破産者マップというのが流行って、破産者の所在地がたちまちわかってしまうサイトが公開されていましたね・・地図にピンが付いてて、ここにもあそこにも破産者がウジャウジャいますよ・・ってことが即座にわかるというもの。
それがあったから特にありがたいわけでもないが、ああ、こんなに他人の財産を食いつぶした野郎どもがのうのうと暮らしてやがるんだなって思いますね・・
それにしても、なぜにこのように債権者の財産権につきいとも簡単に債務者の免責が許されるのか・・免責の理論的根拠は一体何なのか・・とか私は考えるが、全く答えがないんです・・最高裁の判例(大法廷昭36.12.13)によれば、どうやら憲法25条1項の生存権に起因するのか、とも思われるが釈然としない。何せ、免責を誠実な破産者に対する特典ととらえているらしいのだ。
この特典の意味が全くわからない。なぜ、支払いができなければ特典が生じるのか・・この特典説は、最高裁の判例によれば、平成3年2月21日決定において再度支持されたと考えられるから、最高裁判例として解釈が確定したように思える。
実は、私はある債権回収に伴う訴訟で、この特典説を指摘して最高裁に訴えを起こしたことがあるんです。要するに、私としてはこの最高裁判例の特典説が理解できないし、支持できないのですよ。結果、けんもほろろに請求棄却でしたが・・
多分、破産者マップの運営者も私と同じ思いだったのか・・と想像するがよくわからない。昨今のコロナ被害に対する政府の支援金などの対応は比較的素早いものがあるが、その根拠は、先の判例の特典説に起因する憲法25条の生存権及び29条の財産権と考えられる。破産者に特典を与えるのは生存権と財産権侵害の見返りに与えられる憲法29条3項の、私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる、からなんだろう。そうであれば、破産者に適用する特典は、正に「公共のため」といえるのだから、裁判所が破産者に免責を供与する代わりに、対する債権者に「正当な補償」が必要なのではないのか、と思うのだ。
裁判所は、この特典説に付き理論的に説明ができず逃げ回っているのですよ。私はどうにもこうにも納得できないが、破産者に免責を付与する場合は、対する債権者の損失を補償すべきだというのが憲法上合理的判断だと思う。