行政書士は法律判断を加え代理して書類の作成、契約行為が行える

「行政書士は法律判断を加えて書類作成し、かつ法手続を遂行する職能を有し、弁護士法に抵触しない範囲で依頼者の代理人として契約代理を行うことができます。このことについて、関連ファイルの本会長声明をもって本会の見解を明らかにしています。」

行政書士は法律家だから、他人から依頼され書類作成をする場合、当然として、法律判断を加えることになる。かつ、法手続きを遂行する職能を有するから、依頼者の代理人として契約代理を行うことができる・・まあ、私的には解釈として正しいと思いますがね・・しかし、これに弁護士会は大反発しております。

「広島県行政書士会の会長声明に対する抗議文                  広島弁護士会本件各会長声明は,弁護士法及び行政書士法の解釈に誤りがあり,以下のように重大な問題点が指摘できる。そこで,当会は,本件各会長声明の趣旨に沿った行為であっても,それが弁護士法72条の禁止する非弁護士による法律事務の取扱い等に該当するものと認められる場合は,非弁行為として所定の手続を取ることを明らかにするとともに,広島県行政書士会に対し,本書面をもって強く抗議し,行政書士による非弁行為を助長,誘発するおそれがある本件各会長声明を直ちに撤回するよう求める。」

弁護士会の主張によると、弁護士法72条所定の「法律事務」は、弁護士の独占的業務といえるものだから、他士業が法律事務を行うと非弁行為にあたることになる。その他士業のひとつである行政書士が他人から依頼されて書類作成をする場合、それに法律判断を加えることは本来の弁護士独占業務である「法律事務」の取り扱いを侵害する行為にあたるから、弁護士法72条所定の非弁行為に特定される、という趣旨みたいだ。弁護士会の主張によると、行政書士の作成するすべての書類は、定型によるものの代書業務でなければならず、そこに法律的判断が介入する余地はない、という解釈であるらしい。しかし、そもそも法律事務自体が弁護士の独占業務といえるかどうかも疑問があるし、行政書士法第1条の三の一所定における「代理」の解釈においても、法律事務すべてが代理できないとする解釈は拡大解釈なのではないのか、と思う。広島高等裁判所平成27年9月2日判決において、行政書士が業務として契約代理を行うことができ、契約書に代理人として署名し、契約文書の修正等を行うことができることを意味する旨判示しているから、行政書士の業務の範囲としては、法律判断を加えて業務として契約代理をすることができると解釈することが相当であると私的には解釈しますね。

従って、広島県行政書士会会長声明は特に解釈として問題なしといえると思う。