この間、生活保護開始申請代理を委任されたから、打合せをして申請書類や証拠書類等を作成して役所に提出したら、このまま申請しても却下されるから、差し戻したほうがいいと言われ、そのとおり今すぐの申請を見送ることになった・・
その理由は、保有資産が多すぎるというものだった。
現金はほぼ手持ちゼロだが、預金通帳に数十万程度残っているっていうのだな。
確かに、生活保護制度自体は最後のセフティネットというべき制度で、大して緊急性もないのにお気軽に利用していただいては困る・・とかいうことなのか。
で、具合的に、預金がいくらになることが要件なのだ、と問うと、
6万円未満だという・・これには驚いた。
破産申請でも、破産者の自由財産は100万円未満相当金額は認められるのに、何で生活保護だと6万円未満なのだ。これにはさすがに日頃おとなしい私であっても反発せざるをえない。しかし、依頼者同席で役所の担当者に大声で怒鳴るのもみっとないから、一度持ち帰ってから、電話で担当者を呼び出し、営々と1時間は文句を言い続けた。
依頼者に置かれている状況を説明して、全財産が6万円未満まで追い込むとは何事だ、人道に反する言動であり、法の趣旨に反している、と。
いくら説明しても、役所担当者は、「最後のセフティネットですから」「生活保護手帳別冊問答集にあるとおりですから」・・など言い返してくる。
こちらもますますエスカレートして、電話越しに大声になって怒鳴り散らす。
そのうちに、役所側も疲れてきたのか、電話で相手が入れ替わり立ち代わりで、
「6万円未満は訂正します。」などと言いだした・・
そもそも、水道光熱費や家賃、医療費の支払いでは半月の間で持ちこたえできるのか、と思う。家賃を滞納したら、賃借契約は債務不履行を理由に解除となり、即刻立ち退きを求められる。水道は滞納してもすぐに止められないだろうが、電気代は止められる可能性がある。また、その他何らかの不測の事態も考えられる。全く、手持ちがないのは危険きわまりない。
全財産で6万円未満というのは危険だと思う。
確かに、色んな不法受給者がいることも確かだろうが、特に、現況のような非常事態下で、このような非人道的な制度(というよりも役所側の裁量)を強要することは危険だと思う。
財政規律の問題も当然取り組むべきではあるが、人命を最優先にしてほしい。
セフティネットの意味を取り違えているのではないのか。